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「わからないのかい。

「君」が、彼のことを好きなんだ。いいじゃないか。
なのにさ、どうしてヘンだなんて云うのさ。おかしいよ。
君も！
くだらな〜い一般の常識とやらにやられちゃってるのかい。

つまんない、つまんないな。

君の気持ちはだれにも分類なんかできっこないのにさ。
なんで微妙な関係ってのに無関心なワケ？」

あいづちも待たずにいっきにまくしたてるとフォースは長いためいきをついてモズの肩から手をはなした。
あらためてシティの雑踏の音が耳に入りモズは申し訳なさそうにフォースの顔を見た。意外なことに彼の表情が元のへらへら顔に戻っていたのでモズは心底恐ろしくなった。

このひとの笑顔は仮面のようなものなんだ。

悲しくなったモズがひとつまばたきして首を少しかたむけると、鏡にうつしたようにフォースの表情もくもった。

「ふふ、君はとっても素直なんだね。

あのさ、ぼくたちニューマンって寿命が一定してないだろ。だからさ、自分の欲求に対してとっても正直なのさ。
時にそれは、インモラルととられることもあるようだね。でも、なんととられようとぼくらは自分をごまかさないし、後悔もしないってこと。

まあ、種族には種族なりのやりかたってのがあるんだろうがね。頭ごなしにどなってわるかったよ。ぼくは普段、大声はださないのにさ、ふふ。なんでかなぁ？」

「ねえ、あなた。あ、あの。
ぼく、思いなおすとこあったんで…あなたの云うこと、自分でちょっと考えてみたいんです。
たぶん、あなたの考えとぼくのそれっていっしょじゃないような気がする…んだけど。」

「それで、いいのさ。それで。
君はぼくじゃないもん。」

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