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フォースはうれしそうに大きく伸びをした。モズには不思議とそれが、9、10歳の幼いこどものしぐさに見えた。

「また、お話できると…あ、あなたがよければですが。
ぼく、モズっていいます。
あなたの名前、聞いていいですか？」

そのとき街路のむこうから声がかかった。

「モーズー。ただいまー。」

「あ、ヨグ姉とジル姉だ。おかえりー。」

「ヨグ？君、ヨグを知ってるのかい。」

「はい、ぼく、あの人たちとアパートの同じブロックを借りて共同生活してるんです。あ、こんど遊びに来てください。ジル姉の料理っておいしいんです、とっても。」

楽しそうに聞いていたフォースはふいにいたずらっぽく笑うと、口元に小手をかざして小声で言った。

「ぼくの名前はね。」

モズはフォースの口元に耳をよせた。

さら…
モズの耳をおおう銀髪をかきあげてフォースはちょっととまどった。
いつもと勝手がちがったのだ。
モズはこそばゆさに耐えながら名をつげられるのをじっと待っている。

モズはぼくより背が高いんだな、届かないや。
ま、いっか、ふふ。

ぱふっ.....

いつものように、耳の上っかわに口がとどかなかったのでフォースはモズの耳たぶでがまんしたのだ…が。

「ふ.....わぁぁ。」

なんともなさけない声とともにモズはその場にへたりこんだ。
同時に風のように一台の車が現われて運転席からピンク色のアンドロイドが声をかけた。

「お迎えにきましたぁ。」

「ああ、いま行く。
じゃあね、モズ。また、ね。」

結局、フォースは名を告げず行ってしまった。

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