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冷蔵庫を見るような目でヨグのまわりを一巡するとジャンはそっぽを向いて目を閉じ「ふん」とひとり納得した。
ヨグに向きなおった表情はもう真っ平らではない。

「キリークの装甲の塗料かい。
狭いフロアでラゾンデを使ったよね？塗料の成分が電気の過干渉下で分解されて微細に変化したものがスーツを素どうりしてタンパク質と再結合した、ってとこかな。
珍しいケースだなぁ。うふふ。」

「う、うん。そのとうり。」

「ふむ、だがどうすればそんな形に色がつくっていうんだ。
偶然じゃ理由にならないな。
おっと、それより、さ。」

まだ、つづくの？服を着させとくれよ、ジャン。

「ヨグ、知らなかったのかい。保険がきくんだよ。」

「へ。」

「ギルドの保険に入ってるだろ、君だったらフォニュエールの組合を通じてさ。ずいぶん安くなるんだよ、治療費。」

「あ、いや、さ。ちがうんだ。」

「まいったなぁ、きみは。
もうちょっと最新技術の勉強をしたまえ。大丈夫、痛くないのさ、今は。皮膚のはりかえなんかを想像したね、うふふ。
そうそう、日数だってそんなかからないんだよ。」

「そうじゃ、なく、さ。
なんつーかぁ。べつに、いっかなぁ〜って。」

「…どういうことだい？、ヨグ。」

ジャンが書架を爪でコツコツと叩きはじめた。

「え、だって、さ。気にしてないし。」

コツコツの締めに書架を平手でぶったたくと、ヨグの鼻先までつめよったジャンはまくしたてた。

「おかしい、おかしいよヨグ。
どうしてだい、君は事件にかたをつけたんじゃないか。
罪悪感？ばかな。
なんだってもういないアンドロイドの痕跡を…ああ、わかんないな。自分の皮膚にのこしておく理由があるのさ？」

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