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痣。

ヨグの手首の内側からなんとも不思議な色の痣がはじまっていた。妙に鮮やかな金属質のむらさき。

「ジャン、袖がのびちゃうってば。ひっぱんないでさぁ。
ハンターズのスーツ、高いんだよ。」

ジャンは聞いちゃいない。

「なかった、うん。確かになかった。
メディカルセンターで見たときには、そう。君がほっぺたを切られたときだよ、こんな痣はなかった。
おや、腕にもつづいているじゃないか。」

「あ〜うん…」

「脱いで。」

「！」

「どうしたんだい、聞こえなかったかい？ああ、そうか。」

ジャンはひとりうなづきながら壁の制御パネルを操作した。
温風が巻く。

「さ、これで大丈夫。寒くないだろ？」

人知れずハシゴにしがみついているシモンズは、がたがたと震えだした。
と…止めるべきなのか。グランツに撃たれても、あああ。

床になにかが落ちた。広いフロアに乾いた音がひびきわたる。ヨグが脱ぎ捨てたハンターズスーツについた金属部品の音だった。

「なんか見覚えのある色だ…ああ、ヨグ全部だよ。
ずいぶん範囲が広いなぁ。」

こつん、からん・・・ぼこん。

ぼこん？靴まで脱いだのか。わからない、凡人の人間のぼくには天才の博士が理解できない。それに、なんかニューマンというのがわからない。
なんだってそんな無茶な要求に従えるんだ。別段、恋人どうしというわけでもないって博士もヨグさんも言ってたのをぼくはおぼえているぞ。

下げた腕をぶらぶらさせながら素裸のヨグは待った。
天才が痣の正体を看破して納得して、もとどうりの普通な会話に復帰するのを。

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