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「ああ、それはジャンだ。
モズ、こっちきて少しは食べたらどうなのさ。」

「ヨグ姉、いいっていいって。
冷凍しとくから。

しっかし、あっはっは。モンタギュー博士もやるやる。確かにパイオニア市民３万人っつったって人の耳をくわえたがるのは彼くらいだよねぇ。」

姉ちゃんたちはいつも元気だ。
3人でアパートをシェアしているのだが、ヒューマンのモズはニューマンのヨグとジルに頭があがらない。
リビングのソファーにぐったり横になっていたモズが体を起こした。

「ジャン…モンタギュー、博士？彼が？」

「ん〜、そうは見えないよねとても。
彼はジャンカルロ・モンタギューっていうんだ。
モズ、おまえもジャンって呼んであげるといい。」

「え、あの、でも。博士なんでしょ？」

「名前を言うかわりにおまえの耳をやったんだもん、あたしに名を聞けとね。
だったらあたしと同じくジャンってよばなきゃ〜さ。」

ハシで皿をてんてんと叩いてハニュエールのジルが合いの手を入れた。

「ま、あたしだったら、ゴメンだけどぉ。
あの手合いとは依頼人としてお付き合いすんのがせいいっぱい、だっちゅーの。」

「ん〜、ジルの性格からいってそりゃ正しい認識かも〜。」

「でしょでしょ。」

「え、あの、ぼ、ぼく。
あの人のことそんなに、きらいじゃない。」

せわしなくハシを動かしていたヨグとジルははたと手を止めて、豪快に笑った。

「なぁに、なんだよモズ。
いいじゃん、おつきあいしたくないのはアタシなんだから〜。あんたはあんたでいいじゃん。」

「モーズー。また、お話できっといいね。ジャンとさ。」

モズはにっこりわらうとようやく自分もテーブルについた。

「いただきます、って、うわ。

もう食べるのが…ない．」

よかった、冷凍ピザの買い置きが無事だ。
モズはレンジの前で解凍を待ち乍ら、ピアスのことは内緒にしようとこっそり思った。

きれいで不思議な森の、おみやげ。
秘密とフォトンをまとった、ぼくだけの…

おしまい

◆post it!

う〜む、わたしはいったいモンタギュー博士になにをたくそうとしてるんだろう？
わらったり、からかったり、どなったり。
きままな彼がうらやましくもあります。

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