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メディカルセンターのベッドでヨグは意識をとりもどした。
さて、「ラグオルに下ろせ！」「だめです博士！」と転送機の前で兵士たちと大立ち回りをやらかした末、遺蹟にかけつけたジャンとエルノアはちょっとしたものを見た。 大鎌を胸に抱いたヨグは気を失っていた。有様はひどい。あちこちが焼け焦げ、切り裂かれ、妙な形に曲がった腕は骨折。首にはもげかけたＩＤプレートがぶらさがり、指のあとがくっきりと残っていた。半分はゼロ距離ゾンデのせいなのだが。 「ヨ…ヨグさぁん…博士ぇ。」 「…やれやれ何があったのやら。 「は、はぁい。」 ジャンがしきりに舌打ちをしながらつぶやいている。 「なんてこった、なんてこった。 先をこされるとは、ふっ。」
エルノアが何度目かのお見舞いにやってきた。 「あさってには退院できるんですよねぇ。」 「うん、やっと。ハンター稼業再開だよ。」 ヨグはベッドから半身を起こすと病室の壁にたてかけた大鎌を見つめた。 ヨグさん、親しいヒトを見るような表情？ 「あのぉ、ヨグさん。 キリークさんのことを話すときなぜ、ヨグさんは嬉しそうなのか？ ラグオルでヨグさんを見つけたときなぜ、博士は「先をこされた」といったのか？ それにそれに…。 ヨグは赤面しながら苦笑した。 「ああ、複雑な表情ですぅ。」 「うん、なんでだろね。 へへ、やっぱうまく云えないな。」 「わたし、解ったようですぅ。 「あ、エルノアが笑ったよぅ。うーん、いい気分。 「え、ええ？…はいぃ！」 ヨグさん、わたしを共犯にしてくれるんですねぇ。うれしい、嬉しい。いけないことなのに不思議。 もじもじしているエルノアに、着替えをすませたヨグが声をかけた。 「さ、転送機まで走るよ。」
またハンター居住区に足を向けてしまったジャンは包帯だらけのフォニュエールが大鎌を手に走って行くのを見た。見覚えのあるアンドロイドも一緒だ。 うちのお嬢さんも一緒か。ふう…。 ジャンはヨグに聞いてみたいことがあった。でも、今じゃなくてもいい。 「ふふふ、でも楽しそうじゃないか。
「黒い魂」をやどしたヨグの耳はどんな感じなんだろうな。ふふ、でもさ、できるならぼくと「黒い魂」を共有してもらいたかったなぁ。 |
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◆post it! 珍しく男女なんだけど、照れた。 |
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