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お風呂に入ってほかほかになったヨグがベッドに寝っころび乍ら禁制品、エクレアの袋を引き寄せると、ぽす。枕元に吊したハンターズスーツが寝返りでゆれてフォニュエール特有のハデなツノ付き帽子が落っこちてきた。 ヨグは遺伝子操作で生まれた新人類、ニューマンだ。 外を歩けばフツーに見かける。横に長く伸びた耳以外はヒューマンと変わりがない。母星がわやなので第二の母星として白羽の矢が立った「ラグオル」に向かう超長距離移民船「パイオニア2」に乗船して「ハンターズ」として生計を立てている。 ラグオル地表で異様な爆発が起きたりして船は足止めを食らってるけど、地表に降りての仕事が増えて、ま、そんな暗くなる事もないだろーと考えるしかない状況だ。 「あーもー。狭すぎだよねー、部屋、さー。お金、たまったらもちっと広い部屋…」 落っこちた帽子をお尻にのっけたまま、ヨグはがさごそとエクレアの口を切った。なんたって禁制品にして大好物。ひとかじりして味わうように目を閉じると、先程の戦闘がウソのようだった。 ヨグは今日、ラグオルの地下で原生動物、通称「ドラゴン」を倒した。こいつに初めて遭遇した時ひどい目にあって以来、地下行きのワープゲートには寄り付きもしなかったが、「あのヒト」の言葉がずっとヨグを悩ませていた。 「ヨグ、もっともっと強くなれ。」 ラグオルに降りての仕事を請け負いはじめた頃、一回だけ組んだベテランのヒューキャスト（金属装甲を持つアンドロイド）、キリークに別れ際に言われた言葉だ。 ドラゴンになけなしの武器を踏んづけられ、メガネを割られ、ベソをかき乍らパイオニアに戻ったヨグは何日か目にキリークの言葉を思い出し、何日かを悶々と部屋に閉じこもって過ごし、さらに何日かあとには自分を鍛えるため、積極的にラグオルを歩きだした。 キリークが今、どこでなにをしてるのかヨグは知らない。別に問い合せる必要もない。ただ、ヨグの広くない部屋のベッドのかたわらには、彼女が描いたキリークの絵がはってある。（マンガのようにかわいらしく描かれているが） 寝る前にヨグはいつも話しかけるのだ。 「キリーク、強くなるよ、あたし。」 地表の凶暴化した原生動物はやっぱり手強いが、今は冒険心がお守りのようにヨグの気持ちのなかで歌い続けている。耳をぱたぱたと枕の上で動かし、くるっと体をまるめたかと思うと、あとは寝息だけになった。 また、あたらしい冒険を夢見て。
オシマイ |
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◆post it! これ書いたときオフラインクエスト最初の一個、つまりキリークの登場する「戦いのいしずえ」しかプレイしてませんでした。だからオフクエストをすすめるたびにどっきり。 |
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