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「んー。そこにかかってる白衣。
わかんなかった、なんでジャンがいつもハンターズスーツを着てるのか。なんかぁ、ね、ひっかかってたんだ。

植物園でさ、野宿したさ。そのときわかったんだ。ジャンの膝でうとうとしてるとやっぱりかすかに「あの」匂いがした。　ジャンにいつもまとわりついてる匂い。知ってるけど思い出せないかすかな「あの」匂い。
それがぁ。ジャンの耳から芝生に落ちた血のにおいで連想、つながった。

死臭だ。
ジャンからは死臭がするんだよ。

それを気にしてシティには着替えて出掛けるんだ、死体くさい白衣を脱いでハンターズスーツでね。

ああ、チョコレートと死臭、だ。
おふろ、はいってもやっぱり消えないね。
ねぇ、モンタギュ…はか…せ。」

ヨグはまた眠りに落ちた。
どうしようもない気分をジャンに残して。

乱暴な寝返りでヨグに背を向けるとシーツをかぶってジャンはまるまった。

「モンタギュー博士」だって？
なんだい、それ。
ジャンって呼んでくれたじゃないか、いつだってさ。どっか壊れた頭の君だからそう呼ぶのを許してたのに。親しげなくせに無意識の中じゃぁボクは死体臭い博士かい？

ひんやりした空気がシーツのすきまからはいってくる。
ちぇ、風邪でも何でもひいちまえ。

「くしゅん」

ちいさなくしゃみがして、ぬくもりを頼ったヨグがシーツをわけてジャンの背中にはりついた。一瞬の冷たさの後、くっついた背中がほかほかとあったかくなった。

「なんだい、君だってさ、むちゃくちゃに混ぜたオイルの匂いが消えてないじゃないか。
好きな匂いだけやみくもに混ぜりゃいいってもんじゃないぞ、ホンットに、さ。」

すこし泣いて、ちょっとだけ笑った、そして。
ジャンは本日の営業を終了した。

おしまい

◆post it!

PSOの設定のなかで「人工生命体」と呼ばれるニューマンの不安定な生命力と精神の運用は心ひかれるもののひとつ。
今回はずいぶん長くなってしまったなぁ。最後の一行をタイプして「やったぁ、おわったぁ。」と叫んでしまったよ。
ニューマンの姿をかりて「分類されない関係」ってのを書けたから満足！

20020414

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