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ミソパンとウーロン茶の差し入れが植物園のコントロールルームに届いた。

ジャンの「護衛」を任されている兵士は「若造」に悪態をつくのをしばし中断して、食料を補給することにした。

閉館時間をすぎた植物園はもはや無人だ。各出入口には兵士がはりついている。このまえ転送機械の前で押し問答をしたとき、逆らった護衛兵士はあやうくジャンにグランツを食らいそうになった。以来、彼は極力ジャンに逆らわないようにしているのだった。

寝てるなら、寝かしておけ。

なんか見覚えのない真っ黒なフォースがおまけにくっついているが、害はないだろう。それより、モンタギュー博士がカゼをひかないように…おとものアンドロイドが夜露にやられないように気温設定を変更してくれ。…ふう。

やれやれ、若造め。

まあ、そんなぐあいだった。
そして真夜中、ちょっとした変化があった。

やわらかい人工の月明かりのなか、アンドロイドのエルノアがおもむろに立ち上がり、自分にかかっていた上着を…博士の足にか、フォースの肩にか。とにかく上着をかけて、二人のかたわらにすっくとたたずんだのだ。

ふむ、至近距離で彼女が見張っていてくれるのなら心強いな。エルノアには好意を持っている兵士は思った。

むろんモニター越しの彼の耳には、そこで語られた「エルノア」のコトバは届いていない。
その時、パイオニア２にあるマグがいっせいに共鳴した。マスターに気付かれぬよう、ちいさくちいさく。

そして、「エルノア」から音声が発された。

「いのちみじかきものらよ。

このような至福の夜は何度も訪れるものではない。

こうべよせあうとも、夢をともにすることのなきものらよ。

光をもとめるか、闇に憩うか。よもやそれらを統べるか。

…。ただ、われは見守ろうぞ。」

「エルノア」は語り終えるとこんどは歌を…
ひとしきり歌をうたった。それは風のすさびとの燃え盛る炎のうなりと、虫の音と小川のせせらぎがまざりあったようなふしぎな「歌」だった。

聞くもののない歌は、ただただふたりのフォースのうえにふりそそいでいった。
オイル分子の配列が安定するころ、「エルノア」は再び眠りについた。
みっつの寝息は最後のレム睡眠にはいり、夜明けは、すぐそこまで…。

◆post it!

モンタギュー博士の歳はいくつくらいなんでしょう。オフィシャルイラストでは青年、元になったと思われるデザイン画では16くらいの少年。クエスト中の口調では小学生高学年ってとこか。ニューマンだから額面どおりの歳ではないと思うけどとにかく魅力的な御仁です。
むろんやらしい意図もなく勃起させてしまったけど、彼ならその精神力で自らの肉体を平伏させることくらいなんでもないことでしょう。

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